私は、カリフォルニアロールが回転寿司の台に乗っているようなアーティストである。日本で生まれたおすしは、アメリカに輸出され育まれ、独自の文化に発展した後に日本に逆輸入された経緯がある。そしてまた、江戸時代からの伝統的な食べ物を使い、回転ずしのベルトコンベヤーのような新しい技術にのせて表現する。それらは私自身のようである。
高校から大学院までをニューヨークで過ごし、アートを学ぶ。エネルギッシュな街から刺激を受ける。祖父は画家の中村琢二で、私は幼いころからアトリエやアートが周りにある環境で育つ。祖父はシンプルな構成や配色の表現を好む。一方、大伯父である画家の中村研一は重厚な作風で、戦争画で活躍する。
ニューヨークの大学院時代にWTC倒壊を近くで目撃する。何か大伯父のように戦争の歴史の因果を感じ、自分の作品のコンセプトに反映する。対して、表現方法は祖父のように明確でシンプルである。
アメリカで経験したドラマチックでダイナミックな表現と日本の洗練された静けさや緊張感を融合し、私自身のオリジナルな文化に発展させる。また、アンビバレンスを一つのテーマとする。私の作品は、キレイだけど怖い、怖いけど心地よい。そのぎりぎりのせめぎ合いの放つ輝きを感じてほしい。
私の作品を通して、人の無意識に潜む何か生命の力のようなものを世界の人々に共感してもらいたいと思う。そしてまた人々に共鳴して何かに発展していってほしい。これからも私の作品の夢枕のように、考えや経験の根を下に深くはり、人々の幸福のため高みを目指し空に向かって上に枝を伸ばしたいと思う。